第三章 経営数値計画を作成してみる
第三節 売上と原価を見積もる
売上と原価を見積もるとは、粗利益を正確に算定することにあります。売上が多くても必要な利益が確保できていなければ企業の存続はありません。一つのモノを販売しているのであれば粗利益の算定は簡単です。売上に基準となる利益率を掛ければよいわけですので、ところが、複数の商品を扱うとなるとこれの見積もりは重要な項目となります。以下の事例は、売上が3項目でそれぞれに利益率が異なる場合の例です。ここで重要視されるのが交差利益率です。
項目 |
率 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
売上高1 |
|
2,500 |
2,600 |
2,200 |
2,800 |
売上高2 |
|
5,600 |
5,200 |
5,300 |
5,100 |
売上高3 |
|
9,700 |
9,300 |
9,000 |
9,300 |
売上合計 |
100% |
17,800 |
17,100 |
16,500 |
17,200 |
原価1 |
70% |
1,950 |
2,020 |
1,540 |
1,980 |
原価2 |
80% |
4,480 |
4,160 |
4,240 |
4,800 |
原価3 |
90% |
8,730 |
8,370 |
8,100 |
8,370 |
原価合計 |
85% |
15,160 |
14,550 |
13,880 |
15,150 |
粗利益 |
15% |
2,640 |
2,550 |
2,620 |
2,050 |
上記は原価率の異なる商品が混在している場合ですが、仕入商品の場合は上記のような構成となりますが、生産品となると原価の算定が全く異なって来ます。生産品は素材の原材料、生産に掛かる機械の減価償却費、生産に掛かる人件費、一部を外部に委託した場合の外注費など、生産にかかわる経費の掛け方によって、原価率が大幅に異なって来ます。ここにコストダウンという話が出るのですが、ここではコストダウンにふれずに進めます。生産品などのように原価を構成する要素が多い場合は、基準となる必要経費を出さなければなりません。
それに基づいて、粗利益を算定するためにです。ここで、押さえておきたいのは、各種の支払の原資は、粗利のみから発生するという云うことです。当たり前のことなのですが、中小企業の経営者は意外にこのことをないがしろにしがちです。粗利益から固定費の支払が済んだところで利益(言葉を変えれば余裕資金(実際は異なりますが)が生まれると云うことです。
原価を構成する要素を把握できれば、机上での数値がはじき出せます。これが実際はどのように推移するかを検証するという一連の活動がマネジメントになるわけです。
実際、ここにはコストダウンという仕組みがさらに求められるのですが、先ずは基準の数値を出してみる。これが重要です。
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