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第一章 キャッシュフロー経営とはどういうものか

第五節 収入と支払いから見るキャッシュフロー

 ここでは、入りと出から見たキャッシュフローについて見てみます。最初に以下の表を見てみて下さい。



回収率

100%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前年

売上

回収

残高

臨時経費

経費率

キャッシュフロー

12月

950

 

950

 

95%

 

1月

1,000

950

1,000

 

950

0

2月

800

1,000

800

 

760

240

3月

1,200

800

1,200

 

1,140

-340

4月

1,000

1,200

1,000

 

950

250

5月

700

1,000

700

 

665

335

6月

1,000

700

1,000

 

950

-250

7月

900

1,000

900

100

855

45

8月

700

900

700

 

665

235

9月

1,200

700

1,200

 

1,140

-440

10月

1,100

1,200

1,100

 

1,045

155

11月

1,000

1,100

1,000

 

950

150

12月

1,000

1,000

1,000

100

950

-50

合計

11,600

10,600

 

 

11,020

330

 

 

 

 

 

 

 

 

売上

経費

利益

 

回収-経費

 

 

11,600

11,020

580

 

330

 


左端上部回収率という項目があります。その下の表には売上高が前年の12月を先頭に当年の1月から12月まで記入してあります。売上の右側には回収、残高、臨時経費、経費率、キャッシュフローの順で並んでいます。便宜的に、売上金の回収は月末締めの翌月回収、費用は当該月の支払というサイトで記してあります。

ここでは、各月の売上が翌月に回収されているのがわかります。
残額とは単純にその月の売上と実際に回収した金額との差額が記してあります。

最後の経費率の項目では会社の一般的な目標経常利益率が5%であることを参考として、経費率を算出しました。
ここでは95%となっております。
これは、仕入れやその他の経費(支払わなければいけない費用)を見た場合、売上に対して95%が費用として消えてしまうことを表しています。

最後のキャッシュフローは回収したお金から費用として支払った額を控除したものです。
1月では、前月分の売上950万円が回収され、950万円の支払が行われ、現金が残っていないのがわかります。これを年間で見ますと売上の多寡で影響が出ているのが解ります。

7月と12月では賞与の時期で、凹みが出るのが普通です。

 年間のトータルでは580万円の利益と330万円のキャッシュフローがあるのがわかります。ここでも、収入と支払のバランスから見てキャッシュフローにズレが生じています。

これに納税が加われば約230万円の支出を余儀なくされますので実質は100万円のキャッシュということになります。


しかし、実際は支払いも翌月支払等になっておりますので若干の違いは生じてきます。これまで学習してきた皆さんにとって、減価償却はどうなるんだ。棚卸は考えないといけないのではないかといった意見が出てきそうですがここでの皆さんに伝えたい目的は異なりますので、いったん今までの学習を忘れてとりあえずこの要素のみで見て下さい。

そう考えればあまりに当たり前のことですのでだからどうしたという意見も聞こえてきそうです。

察しのつく方はお解かりと思いますが、現在のように厳しい経営環境下では確実に売掛金等を回収することの難しさは現場の人がよくお解かりだと思います。

しかし、現実を捉え、もし、回収率が5%おちてしまった場合はどうなるのだろうか。次の表をご覧になって下さい。



回収率

95%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前年

売上

回収

残高

臨時経費

経費率

キャッシュフロー

12月

950

 

950

 

95%

 

1月

1,000

903

1,047

 

950

-47

2月

800

950

897

 

760

190

3月

1,200

760

1,337

 

1,140

-380

4月

1,000

1,140

1,197

 

950

190

5月

700

950

947

 

665

285

6月

1,000

665

1,282

 

950

-285

7月

900

950

1,232

100

855

-5

8月

700

855

1,077

 

665

190

9月

1,200

665

1,612

 

1,140

-475

10月

1,100

1,140

1,572

 

1,045

95

11月

1,000

1,045

1,527

 

950

95

12月

1,000

950

1,577

100

950

-100

 

11,600

10,070

 

 

11,020

-247

 

 

 

 

 

 

 

 

売上

経費

利益

 

回収-経費

 

 

11,600

11,020

580

 

-247

 


 左上の回収率が95%になってしまった場合です。

 そのほかの条件は先程と全く同じです。どうでしょう、利益は全く変わりません(当たり前のことですが)、しかし、手元資金はなくなってしまいました。

当たり前のことですが・・・。これに租税負担分を合せますとなんと477万円※1のキャッシュが不足していることになります。
※1.租税分230万円+キャッシュフローマイナス分247万円=477万円

利益が580万円も出ているのに現金は足りないのです。

このような状況が起これば企業経営者は企業の存続を考え資金の補填をしなければいけない環境に陥ってしまいます。
昔から回収の悪いところには売るなという鉄則があるのはこのためです。つまり、回収をする会社の金融を担っているということになるからです。

その会社が倒産でもすれば大変な状況になることはいうまでもありません。
連鎖倒産というものです。


 

皆さんの会社の回収率はどれくらいでしょうか。この事例は、経常利益率が5%確保できる会社を例としてあげておりますので、実際の経常利益率が3%であった場合は資金の不足は大幅に拡大することになります。

売上を上げることだけに一生懸命になり、回収をおざなりにして企業を倒産させてしまったという例(俗に言う黒字倒産)は、皆さんの身近にもあるのではないでしょうか。

実際にはこれが単体で起こるのではなく前出の要素等も複雑にからみあい、倒産を余儀なくされるわけです、無駄な資金需要を作ることの無いように常に監視の目を凝らさなければいけないわけです。
 
 
次にこれの発展系というものがあります。
回収サイト、支払サイトという項目です。

これは、皆さんもよくご案内の事柄です。回収のサイトと支払サイトのずれによって資金需要が発生する事柄です。サイトと回収のバランスを見ることが出来ず、売上があるからとやたら借りまくり回収が滞り、今度は金融機関への支払いをするために借入、最後にはそれが命取りになることもよくある話です。

自社にとってどのようなサイトがいいのか取引先とのバランスを考え行なう必要がここにあります。収入と支払いという何気ない普段の行動でもそこをキチンとマネジメントしていないと悪魔がやってくる可能性が高いということになります。




     
第一章 キャッシュフローとはどういうものか
  第一節 キャッシュフローとはどういうものか
  第二節 会社会計の構造を知る
  第三節 税法とキャッシュフロー
  第四節 儲けの形が変化するキャッシュフロー
  第五節 収入と支払いから見るキャッシュフロー
第二章 キャッシュフロー経営の用語を理解する
  第一節 販売費及び一般管理費に中身を理解する
  第二節 売上関連に関する用語を理解する
  第三節 経常外支出について理解する
  第四節 営業外収益・費用について理解する
  第五節 リース料について理解する
  第六節 未払金について理解する
  第七節 短期借入金について理解する
  第八節 長期借入金について理解する
  第九節 手形借入金について理解する
第三章 経営数値計画を作成してみる
  第一節 なぜ、経営数値計画が必要か
  第二節 固定費の現状を探る
  第三節 売上と原価を見積もる
  第四節 債務一覧表を作成する
  第五節 収入・支払いのサイトを明確にする
     





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