第三章 経営数値計画を作成してみる
第二節 固定費の現状を探る
固定費とは、売上があっても無くても固定的に発生する費用のことです。地代や家賃或いは従業員の給与などが該当します。 キャッシュフロー経営計画を作成する上において、売上の見積もりも大事なのですが、固定費の算出はもっと大事です。 ある会社での出来事です。経営者がこんなに利益が出ているのにお金が足りないというところから、先ず固定費の算出作業を開始しました。上記の問題とは因果関係は無いのですが、調査をしていて、何と実際には使っていないリース料が金額にして毎月の金額で50万円程出てきたのには驚いてしまいました。 そのほとんどは営業所の資産で、営業所では当に廃棄したものなのですが、本社では未だあるものと思いそのままリース料を払い続けていたモノや、下取りしたはずの備品が納入会社の手違いでそのまま使用していることになっていたモノ等、管理のずさんさにあきれたものでした。 また、固定費の本質的な付加価値貢献度も算出しなければなりません。あるところで、固定費の削減ということで人員の整理を行ったところ、それに合わせるように付加価値はそれ以上の減少となり、目論見通りにはいかなかったという例もあります。 短絡的に人員を削減すると、その後の経営に大きな影響を与えかねないこともあります。(モラルの低下や勢いという目に見えない力が減退してしまうのです) 固定費は置き換えや変更で資源の有効活用が可能になる費用でもあります。また、固定費の変動費化というのも近年もてはやされております。アウトソーシングなるものがそうです。 ある会社でしたが、外部的な要因である店舗を締めなければいけない状態に追い込まれました。従業員は全員がっかりでした。その店舗の社員も遠方ということもあり、無くなく辞めてもらいました。しかし、私だけはこれで来期は黒字が増えると話し、皆のひんしゅくをかったものでした。 結果は、会社創立以来の記録的な利益となりました。 結論はこうです。そのテンポは若干の赤字ではあったものの売上はそれなりにあげておりましたが、人員管理やその他の面で色々と問題があり、本部の部長をはじめとする管理者が入れ替わり立ち替わりてこ入れに訪問しておりました。 私の結論はリソースといわれる人的資源がこちらの店に大幅にとられた結果として戦略の立案や業務スキームの構築が遅れ遅れの状態でした。 管理者がこのお店に体が取られない状況になれば、できなかった事ができるようになるので、利益が増えると云った次第です。それは、見事にあたりました。減収増益だったわけです。固定費の有効活用とはこのようなことです。その固定費が果たして有効に機能しているかを見渡す意味でも固定費の現状を探る必要があるわけです。
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