給与計算と社会保険


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 資格取得と喪失
資格取得
社員を採用しますと、「被保険者資格取得届」を社会保険事務所に提出します。この際に必要となる情報を整理しますと次のようになります。
○社員の入社年月日(実際に仕事を始めた日です)
○社員の氏名、生年月日、性別、住所
○社員の被扶養者有無の確認(被扶養者があれば、各々の氏名、続柄、性別、生年月日、同居の有無、収入の状況を確認します)
○雇用の形態(正社員かパートタイマーか等)
○給与の形態(基本給は元より手当と時間外労働の見込み等も整理しておく)
○年金手帳の所持、年金受給の有無も確認(年金手帳を紛失した場合は、「年金手帳再交付申請書」を提出する)
ここでは、標準報酬月額というものを定めますが、ここには、「金銭によるものの額」「現物によるものの額」が記入されます。金銭によるものは、当該給与の予定額ですが、現物によるものの額には通勤定期券等があげられます。6ヶ月定期券などは、1ヶ月に換算して記入することとなります。
資格喪失
資格喪失は、文字通り健康保険を利用できる権利を失うことになるわけですが、資格喪失から20日以内であれば2年間に限り、任意継続被保険者として健康保険に加入することが出来ます。保険料は全額負担になりますが、国民健康保険と比してどちらが安いかを検討して加入しましょう。任意継続は、誤って未納をしてしまいますと、納付期日の翌日に資格を喪失してしまいますので気をつけてください。

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 雇用保険
雇用保険を掛けるには、公共職業安定所に「雇用保険資格取得届」を提出しなければいけません。提出期限は採用をした月の翌月の10日までです。
雇用保険は、原則として、従業員を一人でも雇っていれば適用事業となります。ただし、農林水産業のうち5名未満を雇用する個人経営の事業にあっては、任意適用事業とされています(本業種にあっても労働者の半数以上の同意があれば適用は可能です)。
雇用保険の被保険者の資格は事業主の意思とはまったく関係なく有しますが、会社の代表取締役や監査役などは被保険者となることは出来ません。また、以下のような人も適用を除外されます。
○65歳以降に新に雇用される人
○短時間労働の季節労働者(正規の社員の勤務時間より短く、週30時間未満の人)
○4ヶ月以内の期間限定の季節労働者
○船員保険の被保険者
○国、都道府県、市町村の事業に雇用される一定の者

雇用保険料の負担率は以下の通り
22年4月1日より変わりました。

事業区分 一般事業所 農林水産
清酒製造業
建設業
保険料率 15.50/1000 17.50/1000 18.50/1000
会社負担分 9.50/1000 10.50/1000 11.50/1000
個人負担分 6.00/1000 7.00/1000 7.00/1000

上記料率に基づき、月額の給料より控除される。

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 労災保険
労災保険は全額事業主が負担するので給料からは控除されません。労災保険の目的は、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して保護をおこなう労働福祉事業です。
労災には次のような給付があります。
○療養(補償)給付
労働者が業務災害又は通勤災害により負傷又は疾病にかかり療養を必要とする場合に給付される制度です。
○休業(補償)給付
業務災害又は通勤災害による傷病のために休業し、そのため、労働が出来ず、賃金を受けられない場合に給付される制度です。
○障害(補償)給付
業務障害(通勤災害)等で負傷または疾病にかかっていたのが直ったが、身体に一定の障害が残った場合に給付される制度です。
○傷病(補償)給付
療養(補償)給付を受けている労働者の傷病が療養開始後1年6ヵ月経過しても治らず、一定の障害状態(傷病等級(第1級~第3級))あるときに給付される制度です。
○介護(補償)給付
障害(補償)年金または傷病(補償)年金の給付を受ける労働者が、常時又は随時介護を要する状態にある時に給付される制度です。ただし、身体障害者療護施設、老人保健施設、特別養護老人ホ-ム、原子爆弾被爆者特別養護ホ-ム又は労災特別介護施設に入所している方には支給されません。
○二次健康診断給付
労働安全衛生法の規定による一次健康診断の結果に基づいて、脳・心臓疾患を発症する危険性が高いと判断された方々に対して、二次健康診断を受けた時に給付される制度です。
○葬祭料(葬祭給付)
業務または通勤等の災害で死亡した場合に葬祭を行う者に支給される制度です。
○遺族(補償)制度
業務または通勤等の災害で死亡した場合に、遺族に支給させる制度です。
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 標準報酬月額
社会保険料(健康保険・厚生年金)は、標準報酬月額表によって徴収されます。標準報酬月額は社会保険事務所が決定します。料率表を見て、勝手に判断をして徴収は出来ません。
社会保険はその計算を月単位で行っています。つまり、社会保険料には日割りという概念は存在しないのです。
この場合、つきの始めに入社した人はその月の給料日に社会保険料を納付することは可能ですが、給料日後に入社した人は、納めることが出来ません。そこで、当該月に入社し、社会保険に加入してもその月は社会保険料を徴収しない形となっております。つまり、4月に入社し、その月の25日に給料を頂いたとしても、その給料からは社会保険料は控除されません。控除されるのは翌月の給料からとなります。つまり、実際の保険料は当月に支払われる給料から前月分の保険料を徴収していることとなります。逆に、退職した日においても、どの時点でも被保険期間はないものとされ計算から除外されます。つまり、その月の分の保険料を負担することは無いわけです。



社会保険料は、個人が給与から徴収されていますが、それに併せて会社も負担しています。

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 定時決定
一般的に、4月などには昇給によって、会社から受ける給料が変動します。そこで、変動後の報酬を把握することで、これに対応する標準報酬月額を算定するため、毎年1回、決まった時期に標準報酬月額の見直しをすることとしております、これを定時決定といいます。 対象となるのは、7月1日現在の被保険者について、4月・5月・6月に受けた報酬の平均額を計算し、標準報酬月額表の等級にあてはめて、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額を決定します。
なお、支払基礎日数が、17日未満の月については、標準報酬月額の計算から除くことになっています。
ただし、次のような人は除外されます。
○6月1日から7月1日までの間に被保険者となった人
○7月から9月までのいずれかの月に随時改定または、育児休業等を終了した際の改定が行われる人 。
ここで、決定された新しい標準報酬月額は、9月より適用されます(実務上は10月支給分の給与からとなります)。

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 随時決定
被保険者の標準報酬月額は、原則として次の定時決定が行われるまでは変更しませんが、しかし、人事異動や、昇進・昇格或いは降格にによって、給与が大幅に変動した場合は、年に一回の見直しでは実情に合わないため、標準報酬月額の改定を行うことができるようになっています。これを「随時改定」といいます。 随時改定は、次の3つのすべてにあてはまる場合に、固定的賃金の変動があった月から4ヶ月目に改定が行われます。
○昇(降)給などで、固定的賃金に変動があったとき
○固定的賃金の変動月以後継続した3ヶ月の間に支払われた報酬の平均月額を標準報酬月額等級区分にあてはめ、現在の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じたとき
○3ヶ月とも報酬の支払基礎日数が17日以上あるとき

減給で役員の場合は、減給をしたという議事録の提出を求められることがありますので準備をしておきましょう。
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